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運動経験値

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幼少期に初めてサッカーを体験する多くの子供にとって、ゴールの喜びというものは、今まで経験してきたいろいろな遊びの中での興奮とは違う、何か特別なモノであることは間違いありません。多くの体験希望の子が、練習中のミニゲームの中で、初めて相手ゴールにボールを蹴り込んだ時、感情を抑えきれないような表情と笑顔を見せます。

そういった経験から、スポ少なりクラブやスクールに加入し、もっと上手になりたいと練習を始めていく中で、同じモチベーションで同じ時間を練習しているのにも関わらず、周りの子供に比べて上達が遅いと感じる親御さんが多いはずです。小学校低学年のうちは、クローズドスキル(自分の思い通りにボールを扱える正確な技術)を習得する練習(特にドリブル)が多いと思いますが、これが周りの子供のレベルに比べて劣る子。

スピードではなく、どれだけ丁寧にソフトなタッチでできるか、なるべく自分とボールの距離が離れないように、またボールから自分の体が離れた時にどれだけ早くコントロール下にボールを置けるか?そういった部分を注視していますが、足の様々な部分(足裏、インサイド、アウトサイド、つま先)を使い、ボールをコントロールすることは、とても難しいことなのです。

スラローム系のドリブルトレーニングで同じ足のアウトサイドを二回づつのタッチ(右右-左左)で進むことは、脳からの指令を受け、体のバランスを保ちながら足の動かし方をどれだけスムーズにできるか?という部分を見るのに最適なトレーニングで、このようなメニューを一定期間、毎週のように行い、一ヶ月後にある程度マスター出来る子と、一年かかってもスムーズに出来ない子の差は何か?

成長度合いや、期間中の集中力の差もありますが、私は、「運動経験値の差」が大きな要因だと思います。

運動経験値とは?

この世に誕生した子供が、最初に自分の体を動かして能動的に何かをする行為は、「ハイハイ」です。それがつかまり立ちが出来るようになり、一歩二歩と歩くことをマスターしていきます。やがて、室内から外へ出て少しずつ歩く距離を伸ばし、走る、飛ぶといった運動に繋がっていきますが、ベースとなる歩くという部分で、現代の子供と30年前の子供では、圧倒的に距離や質が違うと思いませんか?

・小学校入学までに、どれくらいの距離をお子さんに歩かせているか?
・全身を使った遊びを、お子さんがどれほど経験しているか?

これからサッカーを始めようとする子供の、誕生から現在までの運動履歴。それが運動経験値です。

運動経験値の高い子供

始めたばかりの子にとって、ただでさえ難しいと感じるであろうサッカー。
運動経験値の少ない子は、スキルを習得するというより、転ぶ恐怖、思い通りに体を動かせないジレンマと戦っています。

逆に、小さい頃からよく歩かせる家庭の子、外に放り出して友達と目一杯いろいろまことをしながら遊んできた子供は、一ヶ月のトレーニングで劇的にうまくなります。そういった子供の特徴として、自分の限界を超えて転ぶことを恐れない(転び慣れている)し、体の動きがなめらかで、柔軟性に富んでいます。

公園や、小学校のグラウンドにある、「うんてい」。あれは腕力を必要としませんし、運動経験値の高い子供は、スイスイと体のスイングを上手に使いながら渡っていきます。ご自分のお子さんが、相対的に見て運動能力があるか?ないか?を見るには、いい指標になるでしょう。