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得点を許さないこと。

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人数が少ない低学年のチームほど、指導者はゴールキーパーの問題で頭を悩ますことが多いと思います。サッカーを始めたばかりの子供は、試合で得点を決めることがすべてであり、ゴールマウスを守ることではありません。

フィールドで出場している子供のレベルが高ければ高いほど、相手陣内でのプレーが多くなりゴールキーパーはボールに関与する機会が少なくなります。

せっかく試合に出場しても、フィールドの子供が攻撃をしているのを立って見ているだけで試合終了となってしまうようなポジションに当然ながら魅力を感じる子供は少ないです。

「ゴールキーパーをやるためにこのチームに入った」
「ゴールキーパーが一番かっこいいからサッカーをはじめた」

こういった子が一人でもいると、チームは非常に助かりますし、みんなハッピーで試合に挑めるのですが、なかなかこういった子は少ないですよね?

指導者なら、出場するメンバー全員が、ポジションに納得し、自信を持って試合に挑んでほしいと誰もが思うはずです。

見極めと方向性

私がゴールキーパーを決めるに際に、いろいろな子供に一通りは経験させますが、そこである程度のプレーを見て適正があまり感じられない子は、選択肢からは外していきます。

適正を見るポイントとしては、相手攻撃選手と一対一の局面で子供がどう動くか?

(a)ゴールラインまで、攻撃選手を見ながら下がりシュートストップを試みる
(b)攻撃選手に対し、シュート直前で自陣のゴールを空けてでも突っ込む

(a)は、論理的な考え方のもとにした行動のように大人は感じると思いますが、子供の中では多くの場合、「強いボールが体に当たったら痛いだろうなぁ」という自身へのダメージを心配する恐怖から下がってしまっています。

逆に、(b)は無鉄砲なイメージですが、実はその行動をした子供には、いくつかの素晴らしい才能があります。

・チームのために得点を許さないという責任感
・ボールが当たる、相手選手と接触する、転ぶといった恐怖心をあまり感じない

チームの方針によっては、低学年のうちはゴールキーパーを交代でいろいろな子供に経験させるという手法をとられる方もいるかと思いますが、私の経験では、それはあまり意味を持たないと思っています。当然のことですが、強いチームほどピンチは少ないので、ゴールキーパーが何かを感じる、経験出来る時間は、ほんのわずか。その貴重な時間を複数の子供に分散させるより、ある程度の人数に経験させたほうが、チームとしては有益になりますし、経験した子供が、「ゴールキーパーって面白い、かっこいい」と感じてくれれば、その子にもプラスになります。

言葉の使い方

多くの指導者がゴールキーパーに指導する際、または声をかける場合、「ゴールを守れ」というニュアンスの言葉を使うはずですが、私は「守れ」という表現の仕方はしません。低学年のうちは「守れ」はイコール「下がる」に置き換えられてしまうことが多いからです。

では、どういった表現で子供に伝えるか…

ゴールキーパーには「得点を許すな」、ディフェンスの子には「ボールを奪え」という表現で子供にアプローチします。

「得点を許すな」「ボールを奪え」は、すごく乱暴な言い回しですが、「守る」という表現の仕方よりも能動的に受け止める子供が多いのです。

サッカーはボディコンタクトが許されたスポーツですから、そこのコアの部分を怖がっていると試合で活躍することは、難しくなります。低学年のうちから「ボールは取るものではなく奪う」という表現で通していけば、高学年になった時に、体を張ったプレーが可能になってきます。