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コンパクトとワイド

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「自分とボール」の関係からスタートする低学年のサッカー。
次の段階は、「自分とボールと相手」となり、そこに「味方」が加わって、試合中に視野の広い選手と成長していきます。

フットサル、またはもう少し大きめのピッチサイズで試合が行われた際、フットサル用のゴールが使われるケースが多いと思いますが、相手ゴールキーパーからのフィードが遠くまで行かないケースの場合、ほとんどが相手チームコートでの時間となる試合が多く、攻撃側のチームは大量得点するかのように見えますが、ボールとゴールラインを塞ぐというディフェンスの認識が出来ているチームが相手だと、意外と点数が取れないものです。目指すゴールの前に子供たちでカーテンを引いてしまい、押し込めば押し込むほどシュートコースが無く、シュートしても相手選手や密集した中にいる味方選手に当たり、ゴールを割ることが出来ません。

こういった状況で、ハーフタイムにどうしたら点が取れるか?を子供に話す場合。

大人の頭の中では、ゴール前の密集された相手選手をばらけるようにすれば簡単に点が取れることはわかりますが、低学年の子供にそれを伝え、試合でそういった状況にするために子供たちだけで考えて実行に移すことは、非常に難しいです。例えば、答えだけを与え子供たちがみんなで話し合って後半のスタートとなっても、最初の30秒くらいで成功しないと、頭の中から「秘密の作戦」は消えてしまい、前半のサッカーを繰り返すだけで終わるといったことも多いのです。

大人の考える試合中の指示

そうならないように、タクティクスボードを使って、「両サイドから攻撃しよう!」そのために「最初からワイドなポジションを取ろう!」は、わりとよくあるケースですが、最初からワイドになって、ボールが保持できる保証は何もありません。前半あれだけ押し込んだ相手チームが一度でも自陣に入ってきたら、ワイドになっていることが致命傷になる可能性が非常に大きいことに気づいていない指導者の方は非常に多いです。

低学年の試合において、子供のモチベーションや、試合に入り込んだ状態の興奮度は、多少の技術差を逆転する効果があります。前半あれだけ防戦一方だったチームが、後半にシュートまで行けたのと、相手陣内で得点することだけを考えていたチームが、ワイドになったことで中央突破されディフェンスの人数が足らなくなりシュートを打たれた。この事実だけで低学年の子供のメンタルは、簡単に逆転してしまうものなのです。

両サイドに張るということは、大人の頭の中ではフラフラとボールび寄ってきてしまう子供の矯正のようなもの。
団子サッカーからの脱却において、そういったプロセスを経験しないといけないのも事実ですが、能動的か受動的かで言われれば、受動的なプレーです。コーチに言われた通りサイドに張って、ボールが来たから縦にドリブルしてクロスを入れ仲間で点を取った。

成功体験として、子供にインプットされるはずと思いたいのですが….

  • 自分で考えたプレーではない。
  • なにより自分が得点できたわけではない。

この二つで、多くの子供はすぐに忘れてしまうものです。

攻めさせる勇気

子供に何かをトライさせる時に、なるべくプレーの選択肢として能動的なプレーをするようにコーチングします。上記のようなケースの場合、「コンパクトな状態でディフェンスをして、ドリブルやパスで外に行きシュートまで」「最初から外にはいないで、ボールを持ったら外に行きシュートまで」。子供への指示はこれだけです。

コンパクトになればなるほど、相手も攻めやすくはなりますが、こちらもボールを奪えれば攻撃しやくすなり、目指すゴール前は、GK一人だけの状況を作り出せます。それでも前でボールを奪ってしまい前半と同じようであれば、選手を替えて戦力を少し落とせば、状況は変わると思います。

縦横の違い

ここまで読んで、普通の指導者なら、根本的に何が違うのか?はおわかりになると思います。
前者は、左右に広がって相手選手と相手GKの距離を離すこと。後者は、結果的に見て縦関係で相手選手と相手GKの距離を離すこと。

得点を取って試合に勝つためにはどちらが簡単でしょう?

リスクを覚悟の上で、ワイドに張った状態からクロスを入れる人とシュートを決める人の2つのプレーを二人で成功させるプレー。
リスクも考え、失点をしないように注意しながら、ドリブル〜シュートを一人で完結するプレー。

後者の場合、いつまでこういったプレーを続けるか?は、指導者の目線によって異なりますが、能動的なプレーは多くのことを学び、一つ一つのプレーに対しての責任というものがそれを選択した子供の中にも認識され、例え失敗してボールを奪われたとしても、ディフェンスのためにボールを追って、取り返すというプレーにも繋がっていきます。