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ロングボール戦術

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東京都内のいろいろなグランドや学校で練習試合を行います。
あまり交流のないチームや、初対戦のチームと対戦する時に、相手チームがどういったサッカーをしてくるのか?
指導者目線では非常に興味深く、見ていてワクワクするようなサッカーをしてくる相手チームは、同じコーチとして子供にどういったアプローチの仕方をしているのかは、勉強になります。

私は、東京のほぼ中央に位置するチームで指導していますが、西に行くほどロングボールを多用するチームと対戦するケースが多いです。
西部に位置するチーム全てではありませんが、今までの経験値として比較的多め、こういったチームのコーチングは試合中子供に考えさせるようなことは排除し、どぎつい言葉での指示が多く、応援にきていたうちのチームの保護者が引く位の勢いです。

今回は、どぎついコーチングの話ではなく、ロングボールを考えてみようと思います。

勝利を求めるためのリスク排除

チームに一人いればいいキック力のある子供に大きく蹴らして他の子を走らせるサッカーは、失点リスクの高い自陣ゴール前やペナルティエリア付近を通り越してしまうので、失点を避けるためには簡単な手法です。ただし、キック力のある子供がいるという前提です。

この戦術は、おされっぱなしのチームでもカウンターとしてはまりやすく、力関係で劣るチームでも勝てる可能性があることもあります。ただし、スコアとしては、(1-0、2-1)などの僅差での勝利となるため、見ているほうがヒヤヒヤしっぱなしですね。

ロングボールを多用するサッカーは、一般的にポジティブな印象を持たれませんし、どちらかと言うとネガティブに捉えられます。大きく蹴れる子と、点を決めるアタッカーの二人の関係で成立しているように見受けられますし、あまり細かい技術を必要とせず、その時点での子供の運動能力が非常に大きなファクターとなるからです。ただし、ロングボールを蹴る子、それを受けて点を決める子には、ある程度のスキルは必要です。

昔のイングランドサッカーが好きな私は、こういったサッカーは子供の必死さが伝わってきて嫌いではありません。今、自分たちの出来る全てを出し切って自分たちより技術のあるチームに勝利することは、見ている側も興奮しますよね?

4種フットサル独自のルール

10年ほど前に4種(小学校・中学校年代)フットサルルールが改定になりGKのクリアランスはノーバウンドでセンターラインを超えてはいけないというルールが制定されました。オフサイドのないフットサルでフォワードの選手を相手ゴール前に立たせGKのクリアランスを直接、その子めがけて投げるプレーが多くなり、中盤を飛ばしてロングボールの応酬となる試合が多かったと記憶しています。こうなると緻密なパスワーク等で相手を崩すフットサルとはかけ離れていき、このルール改正は、非常に有効だと思いました。

多少リスクはありますが、自陣深くでボールを受けてから攻撃を始めることは、育成年代に必要とされるスキル習得のためには避けて通れない道だと思います。

  • GKは、攻撃の一手目をどうするのか?
  • FPは、そのボールをどこで?どういった体の向きで受けるか?
  • 周りの選手は、受けた選手をどういった形でサポートするか?

少年サッカーでのロングボール戦術

自分たちの限界を超えて、相手の攻撃を防ぐこともサッカー。
相手にボールを取られない、周りの味方選手を見つけてパスを繋ぐこともサッカー。

「ロングボールを多用したサッカーは育成年代においてあまりよくない」

そういった風潮や議論がいろいろなところで行われているのかもしれませんが、このテーマは自分がそのチームに関係してみないとわからない部分が多く、議論としては成り立たないと思います。

「人数がギリギリで、下級生を使わざるを得ない。」
「運動能力の高い子があまりいない。」
「始めたばかりでサッカーを知らない子が多い。」

ロングボールを多用しないと成り立たないケースもあるわけです。
誰も負けようとして試合には挑みません。
相手チームより一点でも多く取ることがサッカーであるなら、上記のようなケースでロングボールを使った指導の仕方はアリなのかなとも思います。

逆に、在籍している人数が多く、スキルがある子供もいるのに、特定の選手にめがけてロングボールを放り込むようなチーム。キック力のない低学年のうちに、わざとバックパスをさせてダイレクトで大きく蹴ることを教えるようなチーム。

こういったチームと対戦すると、非常に残念な気分になりますし、こういった指導をされるコーチは「どぎついコーチング」の方が多いですね。